マラセチア毛包炎かも?汗の季節のシャワー・服と2週間記録
汗をかく季節に背中や胸にかゆい小さなブツブツがそろって出てきたら、日付ごとに記録し、皮膚科の顕微鏡検査で確かめてもらいます。

このノートで扱うこと全8項目
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 季節 | 中国・ウルムチの皮膚科外来の調査で患者の1〜1.5%が診断され、暖かい季節にいちばん多く見られました | 2008 PMID 18386158 · B |
| 出る場所・悪化する場面 | シンガポールの70人では平均22.2歳の男性の背中の上部・肩・胸の上部に多く、熱と汗が悪化の要因でした | 1987 PMID 3498698 · B |
| かゆみの記録 | ニキビのある120人の70%もかゆみを感じていて、かゆみだけでは2つを見分けられません | 2008 PMID 18631277 · B |
| ニキビとの重なり | ニキビのある217人のうち25.3%が、マラセチアが原因の毛穴のトラブルもあわせて診断されました | 2018 PMID 29911526 · B |
| 確かめ方 | 毛包に炎症が起きた264人の研究では、染色検査(MGG)の陽性率が100%、KOH検査が81.6%で、皮膚を採る検査が診断の中心でした | 2013 PMID 23706503 · B |
かゆい小さなブツブツでも、ニキビのことはある?
あります。かゆみがあるからといってニキビではないとは言い切れません。ニキビの外来患者120人を15か月調べた2008年の研究では、84人(70%)がかゆみを訴え、かゆみを強めたものは汗(71%)・暑さ(62%)・ストレス(31%)の順でした。
そのため、この記事の記録表はかゆみの欄だけに頼らず、場所・大きさ・季節もいっしょに見ます。1987年のシンガポールの研究(70人)では、背中の上部・肩・胸の上部に赤い毛穴の盛り上がりと膿をもったブツブツが出るのが典型的な姿で、2018年の研究ではニキビのある人のおよそ4人に1人(25.3%)で2つが重なっていました。

汗をかく季節は、毎日なにを書けばいい?
汗をかいた場面、そのとき着ていた服、洗うまでにかかった時間、かゆみの強さの4つを1日1行で書きます。暖かい季節にいちばん多かったという2008年の外来調査と、熱と汗を悪化の要因に挙げた1987年の研究が、この4つの欄を決めた根拠です。
韓国の皮膚科専門医の学会である大韓皮膚科学会は、真菌が原因の癜風(でんぷう)も、胸・背中・わき・首のように皮脂腺の多い体の上のほうに出て、夏に悪くなり秋・冬に落ち着くと説明しています。韓国の国の保健機関である韓国疾病管理庁(KDCA)は、マラセチアはもともと皮膚にすむ常在菌ですが、肌の状態によっては毛穴のトラブルやニキビにも関わると案内しています。梅雨から夏にかけて通勤や運動で汗をかくことが多い週に別の印をつけておくと、比べやすくなります。
運動のあと、シャワーはどれくらい早く浴びる?
米国皮膚科学会(AAD)は、運動が終わったらすぐにシャワーを浴び、運動中は清潔なタオルで汗を押さえるようにふき、こすらないよう案内しています。シャワーが難しい日は、汗でぬれた運動着だけでも着替えることが同じ案内に入っています。
ただ、シャワーのタイミングそのものを比べた研究は小規模です。運動をする男性23人を「運動しない・1時間以内にシャワー・4時間を超えてからシャワー」に分けた2008年のパイロット試験では、2週間後の体幹のニキビに3群の間で有意な差はありませんでした(p=0.84)。この研究はマラセチアではなくニキビを見たものなので、シャワーまでの時間は正解を決めるためではなく、記録表に書いて受診のときに見せるために使います。
服やバッグのストラップは、なにを変えてみる?
2週目は、体にぴったりした服をゆったりした服に、汗がこもる生地を汗が抜けやすい生地に替えてみて、変化を書きます。AADは、服や道具が熱と汗を閉じこめて肌をこすると肌トラブルにつながることがあるとして、ヘルメット・あごひも・肩パッド・リュックのストラップのように同じ場所に何度も当たるものを例に挙げています。
リュックを背負って駅まで歩いた日とそうでない日の背中の写真を比べると、ストラップの当たる場所にだけ集まっているかどうかが見えてきます。保湿剤を替えたなら、その日付も書いておきます。韓国疾病管理庁は、マラセチアが関わる脂漏性の皮膚トラブルのケアでは油分の多い軟こうや化粧品を避けるよう案内していますが、体に塗る製品がこの状態を減らすという研究はこの記事の根拠にはありません。

真菌性毛包炎は、皮膚科でどうやって確かめる?
皮膚をこすったりはがしたりして採った検体を染め、顕微鏡で酵母を探す方法が中心です。毛包に炎症が起きた患者264人を見た2013年の研究では、49人がマラセチアが原因と診断され、染色検査(MGG)の陽性率は100%で、KOH検査(81.6%)より高い結果でした。
2024年のランダム化試験(50人)でも、2週間後の経過を顕微鏡検査で陰性になったかどうかで確かめ直しています。抗真菌薬を使うか、どれをどれだけ使うかは検査の結果を見て医師が決めることなので、家では記録と写真をそろえるところまでにしておきます。ムダ毛の処理や温浴のあとにできる毛穴の盛り上がりは、毛包炎:カミソリ・ワックス・温浴のあと2日間に見ること・避けることの記事で別に扱います。
汗をかく季節の2週間記録表
| 日付 | 汗をかいた場面 | 着ていた服・バッグ | 洗うまでの時間 | かゆみ(0〜3) | ブツブツの様子 | 場所 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1日目(月) | 例)駅まで歩いて通勤 | 例)体にぴったりしたTシャツ、リュック | 例)9時間 | 2 | 大きさがそろう/ばらばら・毛穴づまり混じり | 背中の上部・肩・胸・首 |
| 3日目 | 例)夜に1時間の運動 | |||||
| 7日目 | 1週目のまとめ | |||||
| 8日目 | 服の切り替え開始 | 例)ゆったりした綿のシャツ | ||||
| 10日目 | ||||||
| 14日目 | 受診の予約をしたか |
表の下には、その間に塗った塗り薬・新しいボディ用品と、飲んでいる薬を書いておきます。韓国疾病管理庁は、受診の前に使ってきた化粧品や薬の情報を医師に伝えることが大切だと案内しています。

どんなときに皮膚科で検査を受ける?
- 背中・胸・肩のかゆいブツブツが2週間の記録の間に減らず広がっていくなら、記録表を持って皮膚科で皮膚を採る検査を受けてみてください。
- ニキビのケアを6〜8週続けても変わらないなら、別の原因かもしれないので皮膚科の受診を考えてください。
- 免疫が弱くなる病気がある、または関係する薬を飲んでいるなら、記録を待たずに受診してください。
- 赤く腫れて痛む、または熱が出るときは、すぐに受診してください。
この記事が拠りどころにした3つの研究
- シンガポールの患者70人を分析した1987年の研究(PMID 3498698)では、典型的な患者は平均22.2歳の男性で、背中の上部・肩・胸の上部に出て、熱と汗が悪化の要因でした。
- ニキビのある217人を細胞診で調べた2018年の研究(PMID 29911526)では、25.3%(55人)がマラセチア毛包炎もあわせて診断されました。
- ニキビのある120人を調べた2008年の研究(PMID 18631277)では70%がかゆみを感じ、かゆみを強めたのは汗71%・暑さ62%でした。
よくある質問
かゆみもある小さなブツブツはニキビ?
かゆみだけでは見分けられません。ニキビのある120人を調べた2008年の研究でも70%がかゆみを感じていて、汗(71%)と暑さ(62%)でかゆみが強まると答えました。背中の上のほう・肩・胸に大きさのそろったブツブツが汗の季節に集中するなら、マラセチアの可能性もあわせて考え、皮膚科で皮膚を採る検査を受けて確かめます。
背中にかゆいブツブツが同じ大きさで出るのはニキビ?
ニキビのことも、マラセチア毛包炎のことも、両方が重なっていることもあります。シンガポールの患者70人を見た1987年の研究では、背中の上部・肩・胸の上部に出る赤い毛穴の盛り上がりと膿をもったブツブツが典型的な姿で、熱と汗が悪化の要因でした。ニキビのある217人のうち25.3%がマラセチア毛包炎もあわせて診断された2018年の研究もあるので、見た目だけで決めず検査を受けるほうが確実です。
真菌性毛包炎はどうケアすればいい?
出発点は、皮膚科で皮膚を採って酵母(真菌)がいるかを確かめることで、抗真菌薬を使うかどうかはその結果を見て診察で決めます。家でできるのは、汗でぬれた服を長く着ない、ゆったりした服を着る、運動後に洗うまでの時間を書いておく、というところまでです。洗浄料などの化粧品がこの状態に役立つかどうかは、今ある根拠では答えられません。
出典
- Clinical and epidemiological analysis of 70 Malassezia folliculitis patients in Singapore, 1987 (PMID 3498698)B
- Prevalence of Malassezia folliculitis among dermatology outpatients in Urumqi, China, 2008 (PMID 18386158)B
- Itch survey of 120 patients with acne, 2008 (PMID 18631277)B
- Malassezia folliculitis co-occurring in 217 patients with acne, 2018 (PMID 29911526)B
- Comparison of Malassezia staining diagnosis in 264 folliculitis patients, 2013 (PMID 23706503)B
- Randomized trial of 50 patients with Malassezia folliculitis (microscopy-negative rate), 2024 (PMID 38979986)A
- Pilot randomized trial of post-exercise shower timing and truncal acne, 23 participants, 2008 (PMID 18304176)A
- AAD — Sports equipment can cause acne機関資料
- AAD — Is your workout causing your acne?機関資料
- Korean Dermatological Association — Tinea versicolor (Korean)機関資料
- Korea Disease Control and Prevention Agency (KDCA) National Health Information Portal — Seborrheic dermatitis (Korean)機関資料
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